オフィス・店舗の内装解体における石綿事前調査夜間工事や居抜き物件での調査の進め方 | 株式会社テクノアップ・ライズ

オフィス・店舗の内装解体における石綿事前調査
夜間工事や居抜き物件での調査の進め方

建築物の解体工事や大規模修繕・改修工事を進める上で、避けて通ることができないのが「アスベスト(石綿)の事前調査」と「正解な含有判定」です。

特に近年、現場で非常に遭遇頻度が高く、かつ判定においてトラブルや判断の迷いが生じやすい部位が、建物の外壁に使われている「仕上塗材(塗膜)」および「下地調整材」です。

2026年現在の法規制下においては、一定規模以上の工事における事前調査結果の公的システムへの報告義務化や、有資格者(建築物石綿含有建材調査者等)による現地調査・サンプリングの徹底が求められています。

しかし、外壁塗膜は過去の改修履歴によって複雑な「多層構造」になっていることが多く、単に表面を調べるだけでは見落としが発生するリスクがあります。

解体事業者・改修事業者・建物オーナー様に向けて、外壁塗材や下地調整材におけるアスベスト含有判定の基本構造から、層別分析の重要性、現場でのサンプリング方法、そしてレベル3対応としての適切な施工・処分方法までを丁寧に解説いたします。

なぜ外壁塗材・下地調整材のアスベスト判定は複雑なのか?

外壁の塗装面は、一見すると単一のペイント(塗料)に見えますが、実際には建築時の施工やその後の定期的な塗り替えによって何層もの塗膜や下地処理が重ね塗られた構造(複層構造)になっています。


1970年代から2000年代初頭(2006年9月の全面禁止以前)にかけて施工された建物では、外壁のひび割れ防止や下地の不陸(凹凸)調整のために使われた「セメント系下地調整材」や「合成樹脂エマルション系可とう形改修塗材(微弾性フィラー)」などに、粘結性や耐久性を高める目的でアスベストが添加されていました。
そのため、「表面の主材(パターン部)にはアスベストが含まれていないが、その下のフィラー(下地調整材)だけにアスベストが含まれている」という事例が数多く見られます。


大規模修繕を過去に2回、3回と行っているビルの場合、1980年代の旧塗膜の上に、2010年代の無含有塗膜が上塗りされているケースが一般的です。
表面の浅い部分だけを削って分析に出してしまうと、奥に潜む石綿含有層を見落としてしまい、結果として違法工事(不法飛散・曝露)につながる深刻なリスクが生じます。

アスベスト含有判定の厳格な手順

着工年・改修年の確認: 2006年(平成18年)9月1日以前に着工された建物、またはその時期までに外壁塗装・改修工事が行われた記録がある場合は、原則として「石綿含有の可能性あり」として調査をめます。
使用製品の特定: 材料名(例:〇〇フィラー、〇〇タイル等)が判明した場合は、国土交通省・環境省の「石綿含有建材データベース」や各メーカーが公表している石綿含有製品リストと照合します。

現地調査と全層サンプリング(試料採取)

書面調査で「無含有」と100%証明できない限り、有資格者による現場での目視調査およびサンプリングを実施します。


外壁塗材のサンプリングでは、表面の塗料だけを削るのではなく、必ず素地(RC躯体やモルタル下地)に達するまで、下地調整材を含めた全層をスクレーパーや超硬コア等で削り落として採取しなければなりません。


方角による劣化度合いの違いや、増改築・部分補修の有無を考慮し、代表的な箇所から必要数(原則1同等施工部位につき3箇所程度)のサンプルを採取します。

分析機関による層別分析(JIS A 1481規格)

採取した試料は、専門の分析機関にてJIS A 1481規格(JIS A 1481-1 または JIS A 1481-2/3)に基づいた分析を行います


最新の分析手法では、顕微鏡下で試料を層ごとに分離(上塗り、主材、下地調整材など)し、それぞれの層に0.1重量%を超える石綿が含まれているかを判定します。


分離した層のうち、いずれか1層でも0.1%を超える石綿が検出された場合、その塗料層全体を「石綿含有建材(アスベストあり)」として取り扱うルールとなっています。

レベル区分と現場における施工基準(レベル3対応)

外壁塗材や下地調整材にアスベストが含まれていると判定された場合、工事現場ではどのような取扱いになるのでしょうか。


吹付けアスベスト(レベル1)や保温材(レベル2)とは異なり、外壁塗材は樹脂やセメントで固められているため、通常時は飛散しにくい「レベル3」に分類されます。
ただし、解体時や剥離時に粉じんが飛散する工法をとる場合は、非常に厳格な飛散防止対策が義務付けられます。


① 剥離剤併用工法(薬液で塗膜を軟化させて手作業スクレーパー等で除去)
② 集塵装置付き超高圧水圧工法(ウォータージェット工法)※コスト高


ディスクグラインダー等の電動工具による乾式削り落とし・研削の禁止
(極めて高い粉じんが飛散するため、湿潤化しない乾式作業は法令で禁止されています)


防じんマスク、保護メガネ、作業着の着用


採取・除去した塗膜くずは「石綿含有産業廃棄物」として、袋の二重封止および指定処分場での埋立処分が必要

施工事業者・オーナー様が知っておくべき実務上のポイント


古い建物で、分析調査にかかる費用や時間(1〜2週間程度)を削減したい場合、調査段階で「石綿が含まれているものとみなして(みなし含有)、最初からレベル3対策で除去・解体を行う」という選択肢も認められています。状況に応じて分析とみなしのどちらがコストメリットがあるかを比較することが重要です。


施主様や元請業者様への説明時、「外壁解体工事」とひとくくりにはしない。
「石綿含有外壁塗材 事前調査・分析費用」
「レベル3石綿含有塗膜 剥離剤除去工法費」
「石綿含有産業廃棄物 収集運搬・処分費」

このように項目を明確に分けて記載・説明することで、トラブルを防止し、法令遵守(コンプライアンス)の姿勢を示すことができます。

まとめ

外壁塗材や下地調整材のアスベスト含有判定は、「表面だけでなく下地調整材を含めた全層を正しく採取し、分析すること」が最も重要な鍵となります。
適切な判定を行わずに工事を開始してしまうと、近隣住民や作業員の健康被害、ひいては作業停止命令などの重大なリスクにつながります。

 

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